感想:エーテルゲイザー19章

前回の記事でも「多分過去一凄い事になるんじゃない?」と言っていた19章(とテウト断章)が完結したので感想を。

※そこまで積極的に書いていくかは分かりませんが、基本ネタバレ込みになります。

前提として19章のメイン・サブ・章内断章だけで凄まじいボリュームになる上、前編を前回の更新直後に読んだ関係で1ヶ月空いて若干記憶が怪しかったりします。

この辺はエーテルゲイザーの難しい所で、後編と合わせて一気読みする為に期間の終わり際に読んだ方が気持ち良く読める一方でずっと未読が付く気持ち悪さがあったり……。

これまでのエピソードにも言えるのですが、伏線を忘れないという意味でも後から始めた人が一気読みした方がスッと物語が入ってきて楽しみやすいんじゃないかなと思ったりはします。

それはさておき19章。

まず何が一番印象深かったかと言えば、驚くほどBGMが良かった。

舞台設定自体がもう儚さに振り切っている中で、SF感を織り交ぜつつ”綺麗な曲”を仕上げてくれたな~と思います。

メインテーマ(Above Sapphire Horizon)が本当に強いし、フラットデータエリアverで若干アレンジが入ったり、戦闘曲にも直球のバトルアレンジやフレーズ使用があったりと作り手も会心の一曲が作れたというのが伝わってきます。

秀逸なテーマ曲はどれだけアレンジして利用してもいいですからね。

※サガフロ2とか……。

同じくボーカル曲のMy Precious Friendもテーマに沿う内容で、本当にひたすら作曲班が良い仕事をしていた印象です。

曲単体の良し悪し以上にシナリオにしっかり噛み合っていたのが本当に大きい。

シナリオはまずサイドストーリーへの力の入れっぷりが凄いなと。

膨大な量のテキストを作中時系列に応じて展開していく関係で(順番を見落としやすいのもあって)読むのに若干苦労しますが、ロビーBGMの良さのおかげで内容にだいぶバフが掛かっていたと思います。

そもそも超空間実験の性質上どの道……という話の中で、波瀾万丈ながら一つのハッピーエンドに行き着く万幸もあれば絶望しかない滑落もあったりと読み応えがありました。

断章も魅力的で、チェスに興じる閣下なんかのサービスシーンは特にお気に入りです。

知能種自体は人類サイドにとって相容れないんでしょうけど、閣下自身は悪辣さもなければ害意も薄いので敵役ではあっても悪役ではないというか……。

今後も求道者的な立ち位置で美味しい役回りをして欲しいですね。

そしてメインというか大筋のベルダンディの話はどうなんだよとなると……。

19章全体を見るとかなり楽しめているのは大前提として、やはり駆け足というか一気にぶっ込んできたな~感はありました。

なんせ虚恒編でヒロインポイントを爆上げしてから戦線離脱→スポットライトが当たってこれまた一気に覚醒まで来ましたからね。

12章くらいまでだと「ウルド(ウルズ)・スクルドがあんな感じでベルダンディに何もない訳ないよな……」とは思っていたものの、役回り的には元気系幼馴染みたいなポジションでしたので……。

覚醒というか暴走制御の流れ自体がこう、「試したら出来ちゃった」的な感じだったのも「思ったよりあっさりだ……」という感想に繋がった気はします。

とはいえムービーの出来も中々で、アドミン・ベル双方にとって極めて重要な掘り下げが行われている興味深いエピソードでした。

しかし超空間実験においてこの限定された期間内に眠っている重大事実に辿り着いた一方で、アドミン・ベル双方の謎も更に深まっていると思うんですよね。

暴走が制御できて神力とベインエネルギーが使える(現状の)最強進化フォームになれる、それは良いけど結局ベル自身の来歴が最初から分かった訳でもなければ本来の時間軸で今回の事件が起きてから何が起きて今に至るのかもよく分かっていない訳で。

モーランドで幸せな学生時代を送ってモディファイアに覚醒するまでの空白の期間だったりは……僕自身が過去のエピソードを全部はっきり覚えている訳ではないので不安ですけど、この辺が今後の更なる伏線になってるっぽいよね?とか思っています。

正直最初は名前もあってパラカエサル絡みで色々あるんじゃないの?とか思っていたんですが、出生そのものには関わってないっぽいし……。

いやでもコルグも一枚岩じゃない訳でオーベリック周りも含めてやっぱ何かあるんじゃないの?とかも思ったり。

パラカエサルが色々やってるっていうのは表出する形で描かれて来ていますが、レッドフォックス側はまだ匂わせの範疇でいくらでも盛れると思います。

なんせ黄金の片目だし……ホンマに何も関係ないとかあんの?と勝手に期待してしまいますね。

ロッケンとやたら絡みがあったのも意図したものじゃないかと思うし……いや僕の妄想だったらそれはそれで良いんですけど、必然性がある展開だとは思うんですよね。

そういう意味では19章って壮大すぎる序章なんじゃないかなという気もします。

しかしシナリオ的に考えても12~18章は基本的にアドミンさんがちゃんと主人公する話が続いていたのもあり、久々にアドミンさんと章ヒロインで進む話じゃなかったんですよね。

※一応元カノが保護者代わりになってはいた。

登場するモディファイアの数自体も何気にかなり少ないですし、15・17・18章あたりの陣営総力戦と比べると作劇上の制約は結構あった気がします。

加えてあの辺が少年漫画かな?というレベルの燃えゲー展開だったのに対して19章は12章よろしく泣きゲーの文脈に寄っている感もあって実の所12章と同じくリーチする層は結構狭い感もあります。

こんな話の流れだと「お前ホンマに楽しんだんか!?」って突っ込まれそうですけど、いやいや……やっぱ間違いなく良かったと思います。

これ19章後編のPVなんですけど最初のムービー見るとやっぱ良い意味で溜息出ちゃいますね。

実際の作中ムービーとは色々と順序が違ったり、本当に実際の仕様とは異なる部分もあったりしますし、麦畑でのアクセスキー登場の流れはインゲーム初見だと「え!?」となったりする気もするんですが、”今の自分”にフォーカスした激アツ演出なのは間違いないと思います。

※あまりにもラストバトル演出

何と言うか、とんでもなく豪華な過去回かつ覚醒回だったなと。

本来的には内容としても主人公が絡まない「一方その頃」的なエピソードをちゃんとここまでボリューミーにした事をまず評価した方が良さそう。

しかし前回の記事でエーテルゲイザー第一部のフィナーレ的な話?とか言っていたら「ここから更に話を動かすので楽しみにしといてくれよな!」みたいな感じでたまげているというのもまた事実です。

いやだって……まだまだ分からない事が多すぎるというか分からない事が増えまくったのでスッキリって感じではない!

上の方にも書いた通り超空間実験そのものがとんでもない実験なので色々あったけどハッピーエンド!かというと……そうかな……?どうだろう……といった感じでもあり……。

ある意味では12章を読んだ時に近い感情かもしれません。

ユグドラシルの運命の女神の話はこうなる宿命なのかもしれない……。

とはいえヒロインが再起しつつ強化フォームになった、それは間違いないし互いに離れて色々あった上でここからまたどうなっていくのかは本当に楽しみです。

ベル以外のネームドモディファイアはロッケンも含めて全員相当な好感を抱かれる所でしょうし、キャラの取り扱いもかなり良かったんじゃないかと思います。

更にテウト断章の方で例のキャラが肉体的には復活したという事もありますし、メイン20章が恐らくシャシヴァート編というのも既に大陸版の追加モディファイアやエピソードから分かりきっているのもあり、ここから更に盛り上げられそうじゃん……と期待せざるをえません。

しかし僕自身スピライト社編はもう忘れかけていたのですが、ここに来て色々とまた話が広がり始めてこれにも驚きました。

色々忘れていそうな所を思い出す意味でも自分で1章からまた遊び直すのもアリなのかもしれませんが、いや……流石に大変な気も……。

こういう時ストリーマーの方々が実況プレイしてくれていると新規の感想を啜りつつ自分も読み直せて良いんですけどね。

残念ながら今のところ大量にファンを抱えた有名ストリーマーの力は借りられそうにないのが悲しい所。

僕自身前回の記事を書いて以降、このゲームに対する心境をどう表せばいいのか……と悩んでいたんですが、「あんま客入ってないけど妙に惹かれて勢いで入ってみた店が値段の割にめちゃくちゃ美味しくてびっくりした」みたいな感じ。

絶対美味しいと思うし、主観だけでもなく客観的に考えてもかなりのものを提供しているのでもっと流行っても良いはずなんだけど……みたいな……。

飯屋だったら店側が言うほど流行らせる為の方策を採っていなくても、最低限店が成り立つくらいならお節介なだけだしまぁええか……となるんですが、エーテルゲイザーは運営型スマホアプリですからね……。

客なんて居れば居るほど良いですし、口コミも広がれば広がるほど良い訳なので何とか触れる人が増えて欲しいんですが、中々厳しい。

料理に例えましたけど、超有名チェーンの新作メニューだとか、三つ星レストランのフルコースなんかをみんな手に取る中で何と言うか町中華だとか食堂の程よい価格の定食みたいなポジションで……。

別に中途半端だとは思っていないしコスパ&タイパ最強という強みがあると思うんですけど、突き抜けたパワーを持った作品に対して打ち出していくのは難しい。

今後も期待作がどんどん降り注ぐ中で果たして新規を増やしつつストーリーが一段落するまで生き延びてくれるのか、それが目下最大の懸念です。

ゲーム的には育成が一段落してくると本当に日課が軽くて更新頻度の関係でサブゲーにも程があるので、楽しめた方は適度に塩漬けと復活を繰り返しつつ付き合ってあげて下さい。

コメントを残す